インタビュー
チーフグラフィックデザイナー/佐藤仁美

佐藤仁美さん インタビュー

東北で、デザインと
米作りに従事。
「仕事も農業も、
諦めなくていい」と
代表が背中を押してくれた。

取材・執筆:保戸塚 彩

インタビュー チーフグラフィックデザイナー/佐藤仁美

面接で感じたのは、人を大切にする会社だということ。

私は小さな頃からアニメが大好きで、将来はアニメーターになりたいと思っていました。特に当社が今関わらせていただいている、サンライズ(現バンダイナムコフィルムワークス)様の作品は、小中学生くらいから本当に好きで、いつかアニメーターとして入社したいということを目標に、八王子の専門学校に通っていました。卒業後に入社したのは、モバイルゲームの制作会社です。2006年から2010年まで、モバイルゲームのアシスタントディレクターとデザイナーを兼任していました。当時はガラケーの時代で、携帯電話で簡単にプレイできる男性向け・女性向けゲームのUIデザインにゲーム内の素材・ドット絵制作、企画書作成などを手掛けていました。仕事にやり甲斐を感じていましたし、居心地の良い環境だったのですが、所属部署が解散することになり、転職を余儀なくされてしまいました。

転職先は、ゲーム制作会社やアニメ制作会社、デザイン制作会社と迷っていたところ、前職の上司に紹介されたのがRRJでした。面接してくださったのは、代表の橋満と小川。14年前のことなので記憶があいまいなのですが、面接でトランプをしたんですよね。私があまりに緊張していたので、橋満と小川が「トランプしながら話そう」と言ってくださったんです。本当にフレンドリーな雰囲気で面接してくださったのが印象に残っています。橋満と小川の人となりに惹かれただけでなく、人を大切にしてくれる会社ということがひしひし伝わってきたので、入社を決めました。

これまで手掛けた仕事は、一つひとつに思い入れがある。

現在は、バンダイナムコフィルムワークス様の公式サイトをはじめ、アニメの公式プロモーションサイトなどのデザイン制作をメインに手掛けています。私の仕事の原動力は、クライアントとファンの方たちに喜んでもらえることです。上司を通じてクライアントの声を聞いたり、サイトリリース翌日にファンの方たちがSNSでサイトの感想を発信しているのを見ると、今まで頑張ってきたことが全て報われます。

また、自分の知っているIPの案件を担当するときも、やり甲斐を感じますね。公式サイトや特設サイト、LP、チラシ、映画のパンフレットの制作、ときにはイベント参加まで経験できることもあるので、幼い頃から慣れ親しんできたキャラクターに関われるのはとにかく楽しいですし、飽きません。この仕事は良いことも嬉しいことも辛いことも本当にいっぱいありますが、刺激的で楽しい毎日を送らせていただいています。

私は自分の手を動かすということがすごく好きなので、今後もさまざまなツールの知識を増やし自分のデザイン力を高めていきたいと思っています。また、去年からはグラフィックチームのチーフとして、後進育成のために監修作業と制作物の品質管理を行なっています。他のデザイナーたちも私と同じように楽しみながらたくさんの経験を積んでもらえたら嬉しいと思いながら取り組んでいます。

佐藤仁美さん インタビュー

ファンが“ニヤリ”とする表現を大事に。

私が仕事で大切にしていることは3つあります。

一つ目は、担当するIPのイメージに寄り添った表現をするということ。ファンの方がサイトを訪れた瞬間に、作品の世界に入り込み、楽しい気持ちになっていただけるようなサイト作りが何より重要だと考えているからです。担当するアニメ作品をしっかりチェックして、作品で使われているモチーフや演出をデザインに落とし込んでいます。私はさまざまなアニメやゲームが好きなので、“ファンの心をくすぐる”ということをとても大切にしていて、デザインのトレンドを含めた市場調査は本当に力を入れて取り組んでいます。その結果、クライアントに喜んでいただき、ありがたいことに他の新しいお仕事の依頼につながるケースもあります。

二つ目は、知的財産の取り扱いに気を付けるということです。私たちはクライアントからIPという知的財産を預かってデザインに落とし込んでいますが、画像の扱い方一つとっても権利侵害につながり、クライアントの信頼を失いかねません。当社では異業界からの転職が多いため、社内で著作権講座を開催し、知的財産の取り扱いについて社内の知識の底上げを図っています。

三つ目は、分かりやすい指導を心掛けるということです。私はクライアントに提出するデザインの監修を担当しており、Webや画像、チラシ、YouTubeなど、デザインに関するものは全て目を通しています。デザイン修正のアドバイスを行なうときは、後輩が納得できるように「なぜそうするのか?」という理由付けをしっかり行ない、かつ短い期間で高いクオリティーで仕上げるコツなども伝えられるようにしています。

米作りを支えるには仕事を辞めなければいけない、というジレンマがあった。

私の両親は福島県で稲作農家をしているので、これまでGWやお盆の長期休みだけ米作りを手伝う生活をしていました。2017年頃から両親の高齢化と共に、家業の今後をどうするか?と考え始め、「できれば福島で米作りを支えたい!」と思うようになっていきました。しかし、その頃はリモートワークという働き方は一般的でなく、農業メインに切り替えるなら仕事を辞めなければ…と、かなり悩んでいたんです。

転機は2019年末頃。代表の橋満に相談したところ、「エンジニアの杉山さんも海外で働いているのだから、佐藤さんも福島から仕事すればええやん!」というお言葉をいただきました。そのとき、「そうか、別に東京で働かなくても良いのか!」と心打たれ感動したことを今でも鮮明に覚えています。 その後、新型コロナウィルス防止対策による在宅勤務の移行を機に、本格的な帰郷を決意し、2020年7月に福島県に戻りました。帰省後は、デザイン業務と並行しながら、春の田植え・夏の草刈り・秋の稲刈りと季節を通して作業の補佐を行なっています。会社の仕事はバーチャルオフィスでの定期ミーティングや管理ツールで各々の業務内容が可視化できています。オフィスに出社していた時の様に気軽にコミュニケーション取ることができるので、問題なく業務を進めることができています。

社内にも浸透している、共存共栄の精神。

RRJの組織は縦社会ではなくて、みな並列。年齢や社歴などの上下はなく、先輩・後輩でも業務の内容で違和感があるところは指摘し合いながら、クオリティーを高めています。フラットな環境があるからこそ、居心地も良いのだと思います。

また、困ったときには相談しやすい環境が整っています。病欠や家族の入院に伴う休みを取る際も、嫌な顔一つされません。むしろ代表の橋満や上司である佐藤は「会社でできることはある?」と心配して、親身になって聞いてくれます。実は、私は2016年あたりに病を患ってしったときも代表の橋満が、療養をしながら時短という形で仕事を続けることを提案してくれました。臨機応変にその人のライフスタイルに合わせた働き方を考えて、無理なく仕事を続けられる環境はRRJならでは。“共存共栄”という企業理念通り、本当に共存し合っている社風がRRJの魅力だと思います。

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